CNC-設計編①コンセプト設計
CNCカテゴリ初のエントリ。
ひとくちにCNCと言ってきたがCNCとはコンピュータ数値制御(Computerized Numerical Control)のことであって、実際の工作機械としてはCNCフライスやCNC旋盤といったさまざまなものがある。その中でも今回つくっていくものはDIY界隈で「CNCルータ」と呼ばれているものとなる。(CNCフライス、CNCミリングマシンなどといっても大体おなじものを指すようである。)
[CNCルータ 自作] などと検索すれば大量に情報が出てくるので詳細は省くが、CNCルータの形態は
- ルータ(回転工具)がZ軸上を上下動する
- Z軸がX軸上を左右に移動する
- X軸が、それを支える2本のY軸上を前後に移動する
のような構成になっていることが多い(門型と呼ばれる)。卓上のCNCルータでは、3番目のY軸上の移動をワークテーブルの移動によって行っているものも多い。
最近はオープンソースで図面を公開しているようなCNCルータも多く、中国から楽に部品を買うこともできるようになり、安価で簡単にCNCの設計製作が可能になっている。
オープンソースCNCルータの例
- OenBuilds https://openbuilds.com/
安価な直動機構「V-Slot」「OpenRail」を提供している。サイト内フォーラムのBuild List には海外の多くのメイカーたちのCNCマシンが公開されていてとても参考になる。その中でも「OX CNC」という作例は多くの自作大型CNCルータのスタンダードになっているようだ。 - Carbide3D http://carbide3d.com/
オープンソースCNCルータ「Shapeoko」を販売している。Shapeokoに使われている直動機構はV-Slotとかなり似ている。海外の自作CNC界隈でよく見かける機種。
要求仕様
基本的な用途として、発泡材からの翼型切り出しや、アクリル、木材等の切削を想定している。
以上のようなことをふまえて設計製作していく。特に、「自作するからには安く済ませる」ということを目標にした。
設計要素
CNCの要素は大きく分けて、
- 基本構造(フレーム)
3軸や材料を支える構造。荷重による変形やブレによって精度が低下するので剛性(変形しにくさ)が高いほうがよい。 - 直動機構
軸上をスライドするレールのような機構。LMガイドやリニアガイドが有名だがとても高価。戸車のような車輪とレールで安価に実現している例もある。 - 送り機構
軸を移動させるために、ステッピングモータなどの回転運動を直線運動に変換するもの。ボールねじや台形ねじは高価で重いが精度が高い。タイミングベルトは安価で軽量だが精度はそこそこ。
の3つの選定が特に重要。この辺を次に書いていきたい。
先人たちの類似作例
先ほどのOpenBuildsのBuild List内の、大型CNCをつくっている中で参考にしていったもの3作例を挙げておく。かなり詳細な説明や写真、図面など公開されていて感謝するしかない。
また、設計のうえでこちらのサイトが非常に参考になった。大型のCNCルータやレーザーカッターマシンを自作されている方のサイトで設計・製作過程が事細かにわかる。ぼくの記事よりもこちらを見たほうが非常にわかりやすい。